呼吸器外科「肺がん診療について」

かかりつけの病院や健康診断で肺に異常があると言われ、専門医の診察をすすめられた場合には、早めに受診することをお勧めします。他の臓器と比べて肺がんは転移や再発がしやすいがんといえますので、早い段階で見つけて治療をすることが非常に大切です。

精密検査の結果、肺がんと診断された場合、治療として①手術療法、②薬物療法、③放射線療法などがあり、それぞれを併用したりもします。どの治療が最適か、基本的にはがん組織のタイプと進行度(病期:ステージ1~4期)、年齢、活動性(体の元気さ)などによって決まってきます。

肺がんのタイプは、大きく「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」の2つに分けられます。
「小細胞肺がん」は抗がん剤治療に敏感なので、薬物治療の対象となり通常手術は行われません。
「非小細胞肺がん」は、ステージ1~3期の一部までが手術の対象となり、再発しないことを目標とした根治的手術を行います。ステージ3期のやや進んだものや4期の場合は、手術による治療効果は限定的で、薬物療法や放射線治療などが行われ、主にはがんとの共生を目指します。近年、遺伝子治療薬や免疫治療薬など新薬が続々と開発されるに伴い、肺がんの治療成績は向上しており、余命数か月程度と思われた患者様が数年生存されることも稀ではありません。 さらには、放射線治療のピンポイント照射は、早期の2㎝程度までの小さい腫瘍の段階であれば手術と劣らない成績も報告されるようになっており、高齢者や持病で手術リスクが高い方などには放射線治療を勧めることも増えています。

ひと口に肺がんといっても、100人いれば100人異なり、治療にも様々な選択肢がありますので、当科をはじめとした専門医へのご相談をおすすめいたします。